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【研究室の風景】
研究室での勉強風景 表面張力測定（滴容法） 界面張力測定（懸滴法）
【１】研究概要
本研究室では、界面および溶液内部で形成される配向分子集合体（吸着膜とミセル）および固体表面の濡れ挙動に関して、界面熱力学の立場から研究を行なっている。具体的には、以下の研究を進めている。
（１）両親媒性物質の界面吸着膜に関する研究
両親媒性分子は水／空気表面あるいは水／油界面に吸着して配向し、平面的な単分子膜（吸着膜）を形成するが、この時にどのようなエネルギー変化が起こっているかを、溶液の表面張力（あるいは界面張力）の測定とその熱力学的解析から研究している。また、形成された界面吸着膜の相転移（２次元的な膜の気体状態から液体状態への変化など）現象についても研究をおこなっている。さらに、２種類の両親媒性分子から成る混合吸着膜について、膜中での異種分子間相互作用などについても研究している。
（２）両親媒性物質の球状分子集合体形成の研究
両親媒性物質は、溶液内で球状の分子集合体（ミセル）を形成するが、このミセル形成についても、どのようなエネルギー変化が起こっているかを、熱力学的に解明している。また、分子の集合形態（膜の場合の平面的な集合とミセルの場合の球状の集合）によるエネルギー状態等の相違についても検討を行なっている。
（３）泡膜（液体薄膜）形成に関する研究
泡膜は、両親媒性分子が互いに向かい合って平面状に並んだ２分子膜によって安定化され、形成される。従って、泡膜の研究は、液晶形成や生体膜の機能などを解明するうえで重要な研究対象である。新しいテーマとしてこの泡膜形成のついての研究を、現在検討している。
（４）固体表面の濡れ挙動の研究
固体／水／空気（たとえば固体表面上の水滴）系および固体／水／油系において、固体表面の水相による濡れ挙動を、３相の接触線での接触角（θ）測定により研究している。また、接触角の熱力学的解析により、温度降下にともなう固体表面に吸着した分子の層（一種の吸着膜）の状態変化（surface freezing)についても検討を行なっている。
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1. 界面構造の熱力学的研究
2. 両親媒性物質の界面膜形成の研究
3. 両親媒性物質のミセル形成の研究
4. 固体表面の濡れ挙動の研究
5. 泡膜形成に関する研究
日本化学会、アメリカ化学会、熱測定学会
「自発的ジャイアントベシクル形成と自発的ベシクル−ミセル間自己組織転移」
九州大学・理学部 荒殿 誠 教授
1 M. Aratono, T. Toyomasu, N. Ikeda, and T. Takiue
Thermodynamics of Formation of and Adsorption at Interfaces with
a Floating Lens
J. Colloid Interface Sci., 218, 412-422 (1999)
2 N. Ikeda, A. Tsukamoto, C. Murakado, M. Villeneuve, T. Takiue, M.
Aratono, and K. Motomura
Miscibility of methanol and ethanol with dodecylammonium chloride
in the adsorbed film and micelle
Colloid Polym. Sci., 276, 267-273 (1998)
3 M. Aratono, M. Villeneuve, T. Takiue, N. Ikeda, and H. Iyota
Thermodynamic Consideration of Mixtures of Surfactants in Adsorbed
Films and Micelles
J. Colloid Interface Sci., 200, 161-171 (1998)
4 T.Takiue, A. Yanata, N. Ikeda, K. Motomura, and M. Aratono
Thermodynamic study on phase transition in adsorbed film of fluoroalkanol
at the hexane/water interface. 5. Miscibility in the adsorbed film of an
alkanol and fluoroalkanol mixture
J. Phys. Chem. 102, 5840-5844(1998)
5 M. Aratono, T. Toyomasu, T. Shinoda, N. Ikeda, and T. Takiue
Dihedral angle of lens and interfacial tension of air/long chain
alcohol/water systems
Langmuir 13, 2158-2163 (1997)